今回は、ヤフオクで落札した「SONY製 MSX2+ HB-XDJ」のキーボードを直してみたいと思います。MSX2+はキーボードと本体が一体型のマシンなので、キーボードが壊れていると、かなーり困ってしまいますよね。正直、動作確認をしたとき、キーボードの左半分が効かなくて、いつも通り、「ババ引いたかな?やっちまったかな?」と、かなり嫌な予感がしました。
筐体を開けてみると・・・案の定・・・
ケースの明け方などの説明は割愛します。とりあえず見えてるネジを外すだけでケースもキーボードも開きます。
うううう、なんだこれ・・・。
Ag+導電インクで接点を繋いで、断線しているマトリックスを導こうとしている前オーナーさんの涙ぐましい努力の跡が垣間見えます。キーボードの左側が効かなかった理由も一目瞭然。本来は美しい緑色の部分が、バリバリと剥がれ落ち、透明になっていきます・・・
マトリックスシートを取り除くと、アルミのカバーが腐食していました。歴代オーナーさんが、MSXのそばにドクターペッパーを置いてゲームをしていたら、肘でバルスしてしまった感じでしょう。
普通ならあきらめて、ノークレームノーリターンで再度ヤフオクへ・・・
通常、ヤフオクでは、王家に伝わる究極の呪文、
「ノークレーム・ノーリターン」
(古代ラピュタ語で「さあ、ババ抜きの再開だ。席につきたまえ。」の意)嘘
という一言を書き込み、1円から再出品することで、厄介なブツと確実にサヨナラすることができます。俗にいう、見切り千両、損切り万両ってやつです。
しかしながら、それでは全く解決にはならないので、どうやって修理すればいいのかを考えてみました・・・
とりあえず、マトリックスシートに変わるものを作ってみる。
というわけで、極薄0.6mmの特大基板を作ってみました。キーボード部分とコネクター部分をフレキケーブルでつなげて作成しています。正直コストは掛かりましたが、シートに比べてかなり丈夫ですので、ホコリが入って破れるという「XD系譜の持病」についても心配なくなります。
実は、ここまで至るのに、銅シートをカッティングプロッターで切ってみたり、シルクプリント機「Tシャツ君」に、伝導性インクをセットしてシートへ塗ってみたりと、数カ月間、悪戦苦闘を続けました(苦笑)
ボロボロのマトリックスシートの替わりに、製作した基板を実装してみました。基板から出る、フレキケーブルのモダンさと、昭和を感じさせるケーブルコネクタ部が相まって、いい味を出しています。まさに温故知新。
XDJのコネクタへ生まれ変わったキーボードを装着します。
そして、スイッチオン・・・果たして、キーボードは息を吹き返すのか!?
満を持して、スイッチオン。MSXが起動し、キーのテストを行っていきます。
「A」「S」「D」「F」・・・
カチッ、カチッと、押すたびに新品以上のタッチとレスポンスが指から伝わってきます。どうやら、テストは成功のようです。
と思ったその時、
「Z」が効かない! 矢印キーも効かない!
なぜだーー!(フォーク准将)
一体どうなってるんだ・・・どんなにZキーを押し込んでもビクともしません。(焦)
ここまで、高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変にやってきたのに・・・
しかしながら、よくよく考えてみると、 今回のように単独のキーだけが入力できていないというのは、おかしいのです。 基板はマトリックスで出来ているので、基板の配線が間違っていたり、コネクターが接触不良を起こしていたりする場合には、マトリックス1列分すべてのキーが効かなくなるはずなのです。
キー裏の接点ゴム(黒ゴム)を疑ってみる
疑う場所は、もはや、黒ゴムしか残っていません・・・
これでダメなら、呪文を唱えて、この話は最初からなかったことにするしかありません。
キーボードを再度分解し、黒ゴム裏の抵抗値を図ってみることにしました。
正常に動作する方の黒ゴムの抵抗値を測ってみると298Ω、大体300Ω前後の抵抗値でした。
うんともすんとも言わないZキーや、矢印キーの黒ゴムの抵抗値を測ってみると・・・
なんと抵抗値が4340Ωもありました。抵抗値が高く、通電を感知できていないためにキーが反応しないのかも。
そんな時! 急にとある、神動画の事を思い出しました。
以前、家で10年以上使っているテレビのリモコンが効かなくなったとき、ある方法で黒ゴムを通電させる神動画にたどり着いたことを思い出したのでした。
なんだこの神業!!冗談だろお!”?
というわけで、黒ゴムの裏へ導電性接着剤を塗ってみました。
注射器の中に、ブツは入っています。よく使うであろうエンターキーとBSの裏側には、導電性&耐久性抜群の銅テープを貼ってみました。
再度、キーボードを組み立てて、全キーをテストしてみます・・・
そして結果は・・・全キー ALL OKです。
入力できなかったキーが、快適に入力されます。そればかりか、少し渋めのキーも軽快に入力できるようになりました。いやー、よかった。今日も元気だ飯がうまい。
MSXは滅びぬ、何度でもよみがえるさ
というわけで、おかげさまで無事にXDJのキーボードを復活させることが出来ました。最初の状態が、だいぶアレだっただけに、タッチもレスポンスも本当に快適です。マトリックスシートを基板に替えているので、耐久性は新品以上(笑)だと思います。XD、XDmkII、XVも同型ですので、ご興味のある方は、是非、お試しください。
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